バルバドス料理
西インド諸島の東にあり、旧宗主国イギリスの影響を今も強く残す国バルバドス。アフリカ系の住民が90%を占めるこの国では、オートミールとオクラから作るシチューのような料理コウコウ(Cou-cou)と、この国の海域に多く生息するトビウオ(フライで食べることが多い)が、国民食ともいえるポピュラーな食べ物です。
また、豚肉をはじめとする肉類や、フエダイ、マグロなどの魚、ヤムイモ、キャッサバ、プランテーン(調理用バナナ)、パンノキ(パンの木)の実などもよく食べられている食材。サツマイモに似た味といわれるパンノキの実は、かつてイギリス植民地時代に奴隷向けの安い食料として、タヒチからカリブに運ばれたものです(このパンノキ搬送のいきさつは、「バウンティ号の反乱」として歴史的にも知られています)。
豚肉は彼らの好物のひとつで、カリブの他の旧イギリス領でも見かける、ペッパーポットという、スパイシーな煮込み料理として調理されたりします。
バルバドスでも、他のカリブや中米諸国と同様ペッパーソースやペッパージェリーという、とうがらしをベースにした辛い調味料が日常的に使われます。バルバドス特有のペッパーソースのブレンドは、スコティッシュ・ボンネット・ペッパー(ボンネット型の丸っこいとうがらし)と、新鮮なターメリック、エシャロット、ドライ・イングリッシュ・マスタード、タマネギとビネガーです。
バルバドスを代表するドリンクといえば、何といってもラム酒。さとうきびに含まれる糖蜜を発酵・蒸留して作られるラム酒は、バルバドスが発祥という説もあるくらいで、カンチェ(Kaniche)やマウントゲイ(Mount Gay)など、世界的にも著名なメーカーのラム酒が製造されています。
また、別名をバルバドス・チェリー(Bajan Cherry。西インドチェリーとも)という、ビタミンCの豊富な果実アセロラを搾ったジュースや、西アフリカ発祥と思われるモービー(Mauby)という甘ったるい黒い麦芽飲料もポピュラーな飲み物です。