ハイチ
ハイチは、先住のタイノ族・アラワク族の言葉で、「山ばかりの土地」を意味する。 ハイチの地勢は、主として岩の多い山々からなっており、沿岸部にはわずかながら平野や谷間を流れる川がある。中央部から東部は、大きく隆起した台地になっている。最高峰はラ・セル山(2680m)で、ゴナーブ島、トルチュ島、ヴァシュ島、グランド・チェミット島などの島々も含む。最も大きな都市は、200万人が住む首都のポルトープランスで、2番目は60万人のカパイシャンである。
長年に渡る乱伐で山は禿山だらけになってしまっており、そのために保水力がなく、ハリケーンが通過すると洪水となって大きな被害をもたらす。
ハイチは世界で2番目に貧しい国と言われており、国民の80%は劣悪な貧困状態に置かれている。また国民の70%近くが、自給のための小規模な農場に依存しており、経済活動人口の3分の2が農業に従事している。1996年に就任したプレヴァル大統領以来、若干の雇用が創出されたが、効果はあがっていない。国際的な支援を得られないでいるため、必要とする開発支援を確保できない状態にある。主な経済収入はコーヒー豆の輸出と国外在住のハイチ人からの仕送りぐらいである。軍部はアメリカへの麻薬密輸で莫大な利益を得ている。
ハイチの平均人口密度は270人/km2であるが、実際は都市部、沿岸の平野部、山間部に極度に集中している。ハイチ人の約95%がアフリカ系であり、残りのほとんどは白人とアフリカ人の混血である。公用語はクリオール語とフランス語。ほとんどのハイチ人はクリオール語を話すが、フランス語は人口の10%位にしか話されない。最近では若者や経済層で英語の使用が増えている。
宗教の主流は、国教ともなっているローマ・カトリック。他にプロテスタント。多くのハイチ人はローマ・カトリックの信仰と並行して、ブードゥー教の慣習も行っている。